Plenus 日本の心研究所

日本の食文化アーカイブ 定食ライブラリー

こゝろとからだを満たす食事

四季のTeishoku

季節ごとの旬を取入れて・・・

南北に長く、周囲を海に囲まれた日本では、春夏秋冬と呼ばれる四季のもとで、野と山と海の幸がもたらす季節の恵みを楽しむ食文化が発展しました。

また日本人は、古来より季節感を大切にしながら生活を育み、暮らしを彩っていくなかで、様々な暦を使ってきました。立春や夏至、秋分など季節の訪れを表現する「二十四節気」やより繊細に季節の移り変わりを表現した暦「七十二候」など、暦は季節を伝えるとともに農作業の目安としても利用され食文化に大きく関わってきました。

「四季のTeishoku」では、四季折々の食材が伝える季節感を楽しむことの魅力を、日本人の日常食である定食(Teishoku)で表現するとともに、現代に受け継がれる暦と食の関わりを紹介いたします。

  • 2017.08.08

  • 2017.05.08

  • 2017.02.03

  • 2016.11.07

  • 2016.08.10

  • 2016.05.21

四季の定食

秋 Autumn 2017

夏のうだるような暑さが過ぎ去り、気持ちのいい風が吹き出したら、
美食家には嬉しい秋がやってくる合図。
秋は多くの食材が旬を迎え、美味しいものが店頭に並ぶ季節です。

「今日は何にしよう?」と献立を考える方も、
「今日は何だろう?」と食べる方も、食事どきが待ち遠しいものに。
今はダイエットを忘れて、美味しいものでお腹と心を満たしましょう。

秋の定食

今回の主菜は、買ってきたものとは一味違う“自家製”の塩鮭。
とても簡単にご自宅で作れるので、ぜひお試しください。

秋の定食献立 おかず(主菜) 自家製塩鮭 おかず(副菜) 牛肉ときのこのしぐれ煮 おかず(副菜) 春菊のごま酢和え 汁 茄子と茗荷のお味噌汁 ごはん 香の物 調理・監修 後藤加寿子 コーディネート 横瀬多美保 写真 鍋島徳恭

自家製塩鮭

身の締まり具合や塩分を、好みで調整できるのが “自家製” の
いいところ。鮭以外にも、鯵、かます、鯖、鰯など、干物に
できるものや、締めて美味しいものが適しています。
なるべくいいお塩を使うことが、より旨味を引き出す秘訣。
ハーブ塩や山椒塩でバリエーションを楽しむこともできます。

Recipe

材料(2人分)

  • 生鮭(キングサーモン)
  • ・・
  • 2切れ
  • ・・・
  • 4g
  • 大根おろし
  • ・・・
  • 適宜
  • 濃口しょうゆ
  • ・・・
  • 適宜

たくさん作ったら脱水シートから取り出し、
ラップフィルムで包み直してビニール袋に入れ、
冷蔵庫に入れて5日間くらいで食べきりましょう。
それ以上長期保存する場合は、少し早めに
取り出し、脱水シートのままビニール袋に入れて
冷凍保存しましょう。

作り方

  1. 1脱水シートを広げて鮭の大きさ分に塩の半分をふり、
    塩の上に鮭を置きます。
  2. 2鮭の表面にも残りの塩をふってシートで覆い、
    バットにのせて冷蔵庫に入れます。
  3. 32日くらい後に取り出します。
  4. 4魚焼き網を熱し、盛りつけて表になるほうを下にして
    のせ、中火にして4分どおり火が通ったら裏返して
    火を通します。グリルの場合は、裏になるほうを上に
    して焼きはじめます。
  5. 5器に盛り、大根おろしを添えて、しょうゆをかけて
    お召し上がりください。

※ 塩の振り方

牛肉ときのこのしぐれ煮

主菜がお魚なので、お肉を副菜に。
部位による風味の違いを楽しめる牛の切り落としに、
旬のきのこと針生姜を加えて、しぐれ煮にしました。

春菊の胡ごま酢和え

菊の花を加えた春菊は、お口直しにも最適な胡麻酢和えに。
松の実の食感がアクセントになっています。

後藤先生に聞く「料理」を引き立てる「器」 「器」に命を吹き込む「料理」

後藤先生

お茶席では器も注目されますが、普段の食事の席では器が話しの主役になることはあまりないのではないでしょうか。料理をより美味しそうに引き立てるために器は必要なもの。また、器も料理を盛りつけることで、その素晴らしさが生きてきます。日々の食卓に並ぶ器は、ご自身が「いいな」と思うものを使うことが一番。色合いで選んだり、形で選んだりと、お洋服を選ぶときのように、楽しみながら組み合わせてみましょう。
せっかくですから和食のときは“和食の素晴らしさ”が感じられる器を取り入れて、日々の生活をより豊かなものにしていきたいですね。

今回は同じ主菜を、陶器と磁器という趣の異なる器に盛り付け、
それぞれの特徴や良さ、他の器との取り合わせ方をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。

おなじお料理でも盛る器で表情が変わります

17世紀の古九谷のデザインを参考に制作したもの

京都の陶芸作家、荒木義隆氏による四方皿

鮮やかな九谷焼をメインに普段の食材に彩りを

この九谷焼きは、現代の食卓でも使いやすいデザインなので、
いろいろと活躍しそうな一枚。表面は鮮やかなブルーですが、
裏側は眩しいほどのイエロー。
見えない部分にまでこだわるのが、日本の“粋”です。
すべてシックにまとめてもいいですが、このように鮮やかな色の器を
“差し色”として加えるのもおすすめ。ファッションコーディネートと
同じで、器も取り合わせ方で表情が変わるから奥が深いのです。

”日常”の食事に温かみのある器を主役に据えて

二つ目のコーディネートでメインに選んだのは、
京都の陶芸家である荒木義隆さんの四方皿。
素朴な印象を与える灰色の地に、鶯色の釉薬をかけ、温かみのある
味わいに。器のグリーンに、鮭のオレンジがとても映えます。
遊び心のある絵皿で彩りを加えてもいいですね。

器も洋服と同じで、“中身”を引き立てるものでなくてはいけません。
合わせ方によっては“中身”の良さが死んでしまうので、器は料理をより美しく、美味しそうに見せて
くれるものを選びましょう。かの魯山人も器を作り始めるより先に、幼い頃から料理を嗜んでいました。
料理ができるからこそ、素晴らしい器を生み出すことができたのかも知れませんね。

後藤加寿子

茶道武者小路千家家元の長女として京都に生まれ、同志社大学で美術史を専攻、陶磁器の研究に携わる。茶懐石料理の第一人者だった母に料理を学び懐石料理をベースとしつつ、自らも海外に積極的に出かけ、世界各国の食材や調理法を取り入れるなど、現代家庭でも作りやすくアレンジした数々の料理で“和の食と心”を伝えている。
一般社団法人和食文化国民会議(略称:和食会議)副会長。